樋口一葉旧居跡(本郷)

一葉の艱難辛苦に満ちた24年の短い生涯の中でも、明治22年(1889)7月からの約1年間はとりわけ辛い時期だったろう。

この年の7月に父・則義が病没。長兄・泉太郎は既に没し、次兄・虎之助とは絶縁している。一葉は17歳の若さにして、母と妹を抱え、樋口家の当主として自立しなくてはならなかったのだ。

家を出ていた虎之助の許に3人で身を寄せたものの生活はすぐに逼迫。23年5月、一葉は和歌の勉強に通っていた萩の舎に寄宿することとなった。

和歌の師・中島歌子からは教師の口を世話してやると言われていたが、就職話はいっこうにまとまらず萩の舎では小間使い同様に扱われた。

たまりかねるように母娘3人で転居したのが23年9月末頃のこと。ここ、本郷・菊坂であった。

翌24年、一葉はついに小説家を職業にしようと決意する。

一葉旧居跡は目立たない路地の奥にひっそりとある。

画像の右側、椿の木と井戸のあたりに建っていた。

奥に見える階段はコンクリートであるものの、なんとも時代がかっており、明治中頃にタイプスリップしたような感覚におそわれる。

ちなみに昭和20年代にはこんな風景であった(写真:大竹新助 『日本文学アルバム第3巻 樋口一葉』筑摩書房、1954年刊より。※許可を得て転載)。

一葉も使っていたこの井戸は、現在も地元の方々に利用されているそう。

井戸の上には注意書きが。一葉のちびキャラがちょっとかわいい。

特に記念碑が建っているわけでもなく、普通の住宅地なので静かに見学するよう心がけた。

一葉旧居跡に行くには、菊坂から一本逸れた脇道から細い路地へ入る。

たいへんわかりにくい場所だが、旧居跡へ続く横道の前だけタイルになっているのが目印。

DETA

住所○東京都文京区本郷4-32

アクセス○東京メトロ丸ノ内線/都営地下鉄大江戸線「本郷三丁目」駅より徒歩8分

東京メトロ南北線「東大前」駅より徒歩8分

東京メトロ三田線/都営地下鉄大江戸線「春日」駅より徒歩8分

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