一葉記念館

 

代表作『たけくらべ』を執筆した地である台東区・竜泉に建つ記念館。

五千円札の原図にもなった有名な肖像写真を収蔵するなど、一級品の資料が揃う。近隣には一葉にかかわるスポットが数多くあるので、ゆかりの地めぐりはここからスタートさせてもよいだろう。

 

 

『たけくらべ』の未定稿や、一葉が実際に使っていた着物、紅入れ、龍泉寺時代に住んでいた長屋の模型など観ることができる。

年に数回、企画展が催され展示品が入れ替わる。一葉の兄で絵付け作家である虎之助の作品など、よくぞ残っていたと思わされる品々が並ぶ。

 

記念館に面する「一葉記念公園」には、菊池寛の撰文による碑がある。戦災で一度は焼失してしまったものの、昭和24年(1949)に小島政二郎が補撰する形で再建された。

 

 

公園内には歌人・佐々木信綱による歌碑も建つ。

佐々木は大正元年(1912)に一葉の残した和歌を編纂し、『一葉歌集』として世に送り出した。序文で彼は、一葉の歌について「その天稟の詩才より、自ら古来の題詠的因襲をのがれ出でて、まことの歌をつくり出でたる形跡少なからざるを認め得べし」と評している。

 

 

DETA

住所○東京都台東区竜泉3-18-4

アクセス○東京メトロ「三ノ輪」より徒歩10分

都バス(都08系統)「竜泉」より徒歩3分

樋口一葉終焉の地

本郷・菊坂で3年を過ごした後、一葉は竜泉へ転居。荒物屋を営み始める。

だが、『たけくらべ』の着想を得るという大きな収穫はあったものの、肝心の商売は1年ほどしか続かず再び本郷にほど近い西片へ。ここ菊坂で生涯を終えるまで過ごすことになる。

 

 

菊坂の旧居跡からは徒歩5~6分ほど。伊勢屋質店、桜木の宿にも近い。

一葉は24年の短い生涯の中で、23区東部のごく狭いエリアを転々としていたのだ。

春日通り沿いにある「樋口一葉終焉の地」の碑は紳士服店とコンビニに挟まれ、知らなければ通り過ぎてしまいそうなほど目立たない。

庭には金魚の泳ぐ池もあった。うなぎ屋の離れであるこの家は、さながら水の上に浮いているように見えたことから、最晩年の日記は『水の上』と題されている。

今、未来的な文京シビックホールを向こうに望み、激しく車の行きかうこの場所に、水の上の面影は見られない。

 

DETA

住所○東京都文京区西片1-17-8

アクセス○東京メトロ三田線/都営地下鉄大江戸線「春日」駅より徒歩5分

東京メトロ丸の内線/南北線「後楽園」駅より徒歩7分